東京は「世界一安全」か「世界一危険」か

東京は「世界一安全」と「世界一危険」という矛盾する2つのランキング結果がでた。地球物理学者の島村秀紀さんのコラムが、たんぽぽ舎のメルマガに掲載されたので転載する。

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世界の都市のランク付けをしている英国の組織がある。この秋に、まったく矛盾する二つの結果が出た。ひとつは英国の『エコノミスト』誌の関係会社が発表している「安全都市指数」という調査。世界で安全な都市ランキングで、1位は東京、以下2位はシンガポール、3位は大阪、4位はアムステルダム(オランダ)、5位はシドニー(オーストラリア)、6位はトロント(カナダ)というものだ。これはサイバーセキュリティ、医療・健康環境、インフラの安全性、個人の安全性などで評価したものだ。

しかし保険会社の評価は違う。同じく今年出た英国の保険組織のロイズが英国ケンブリッジ大学と共同で行っている「都市リスク」では、1位が東京、2位がニューヨーク(米国)、3位がマニラ(フィリピン)、4位が台北(台湾)、5位がイスタンブール(トルコ)、6位が大阪、7位がロサンゼルス(米国)ということになっている。こちらは紛争や災害の脅威を試算したものだ。保険金の支払いをになっている会社らしいランキングである。

さて東京は「世界一安全な都市」なのか、それとも「世界一危険な都市」なのだろうか。じつは、両方とも正しいのだ。たしかにサイバーセキュリティをはじめ、医療・健康環境や個人の安全性では東京をはじめ、日本は図抜けている。

だが、日本に2種類起きる地震のうち、内陸直下型地震がどこでいつ起きるか分からない。阪神淡路大震災(1995年)はそのひとつの例だ。もう一種の海溝型地震も、南海トラフ地震や次の関東地震が、プレートが動いている限り次の大地震に刻々近づいていることは確かなことだ。

大地震だけではない。気象災害も地球温暖化とともに、「気象が凶暴化」して、台風も大雨も竜巻も増える傾向にある。げんに、保険の支払額からいえば、過去の日本で1位は1兆678億円の2018年の台風21号で兵庫・京都・大阪などに支払額が多かった。2位は5680億円の1991年の台風19号で、支払は全国にわたった。3位は3874億円の2004年の台風18号、4位は3224億円で2014年の雪害だった。
なお、これには今年起きた台風15号や19号の被害は入っていない。ともに、入ればずいぶん上位になるだろう。

一方、地震での支払額は、2011年の東日本大震災が1兆2833億円でダントツだったものの、2016年の熊本地震が3859億円、2018年の大阪北部地震が1072億円、歴代4番目が阪神淡路大震災で783億円、5位が2018年に起きた北海道胆振東部地震387億円だった。
東日本大震災を除けば、気象災害よりも少ない。だが、震度7で6400人以上の死者を出した阪神淡路大震災が震度6弱の大阪北部地震より少ないなど、最近ほど支払額が増えてきている。

もし首都圏が大地震に襲われたら、保険金額は一気に跳ね上がるに違いない。自然災害の多発時代を迎えているのだ。災害列島ニッポン。





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