福島県の放射線モニタリング活動の記録

一昨年3月に福島県・放射線監視室が原発事故から10年間にわたる放射線モニタリング活動について『福島県の放射線モニタリング活動の記録』という冊子をまとめた。
まずは、このような記録をまとめた事(具体的データが少ない事や反省には触れていない等内容には不満も)に感謝と敬意を表したい。以下HPからも見れる。

https://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/16025d/
https://www.pref.fukushima.lg.jp/sec_file/katudouhoukokusyo/katudouhoukokusyo_gaiyo.pdf
https://www.pref.fukushima.lg.jp/sec_file/katudouhoukokusyo/katudouhoukokusyo.pdf

その中でP162の図4-44に甲状腺等価線量のグラフが掲載されており、注)にI-131/Cs-137の比=10と仮定し、3月12日は10よりも高いと考えられ、原町局の甲状腺等価線量は、この図よりも高くなる可能性があると記載されている。

最も甲状腺等価線量の高い(大野局?)のデータが掲載されていない。本件について元東大・M教授(UNSCEAR2020レポートの専門委員でもある)にも質問したところ、このデータは以下のM教授の論文をもとにしたようだ。
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0265931X19309920

又M教授に上記論文について以下の質問したところ回答が届いた。(下記)
① Fig5におけるBとPの違い。特にPについいて。Bは比率を10倍として算出したものと理解。
② Based on MMEとありますが、MMEとは??
③ Fig6におけるシナリオ9のB,P、Kの違い。(B,Pは質問1と同じ)
④ 国連科学委員会(UNSCEAR)2020レポートはBとPとKのいずれを採用したか?その理由は?

【M教授からの回答】
① Fig5におけるBとPの違い。特にPについいて。Bは比率を10倍として算出したものと理解
BはBase(基本)、PはPlume Specific(プルームごとに固有のI/Cs比を設定)の意味で、Bは10倍という理解で結構です。

② Based on MMEとありますが、MMEとは??
マルチ・モデル・アンサンブルの略です。1Fから放出された放射性物質の大気中での拡散や降雨による地表の沈着をコンピュータ上で再現するモデル(大雑把にいえば天気予報に使われるモデルに近いです)による計算結果を用いているのですが、単独のモデルだと、現象の再現が不十分なことがあり、複数のモデルの平均(厳密には単純な平均ではないのですが)のほうが、再現性がよくなることが、(少なくとも1F事故の予測に関しては)わかっています。
この研究では、国立環境研究所の2つのモデルを用いています。(最近の私自身の研究では、10以上のモデルによるMMEの再現性の評価も行っています)

③ Fig6におけるシナリオ9のB,P、Kの違い。(B,Pは質問1と同じ)
B,Pは上記1.のとおりで、国立環境研究所を中心とする研究チームの成果、Kは放医研のKimさん(栗原さんのチームです)の先行研究の成果です。

④ UNSCEAR2020レポートはBとPとKのいずれを採用したか?その理由は?
UNSCEARは独自の計算を行っているので、どれでもありませんが、I/Cs比については、BよりもPに近い条件で計算しています。避難のシナリオは、Kをもとにさらに細分化したものを使ったはずです。

UNSCEAR2020レポートは吸入摂取や経口摂取の内部被ばくの矮小化が明らかになりつつありる。外部被ばくだけではなく、内部被ばくの実態(平均ではなく個々人の)を明らかにさせる事が重要。

是非、みなさまの知見をUNSCEARに公開質問してみてください。


一方福島県大玉村にある、福島県環境創造センター・野生生物共生センターを訪問し以下の要望をした。

『福島県の放射線モニタリング活動の記録と同じように、野生動物に関する初期被ばくも含めたデータをまとめた冊子を作製をお願いします。野生動物にも甲状腺がんが見られるはずです。動物の内部被ばくの研究は、東北大が精力的に取り組んでいますので東北大との共同研究をし、その結果もまとめるという形も可能かと思います。
http://www2.idac.tohoku.ac.jp/hisaidoubutsu/seika.html  』

動物の初期被ばくはどうだったのだろうか?基本的には住民(人)と同じかそれ以上の内部被ばくをしているはず。甲状腺がんは動物には発症していないものなのか検証できないものか?当時の経口摂取と吸入摂取は人間以上のはず。動物の異常や被ばく線量に関するデータは無いものだろうか?この記録も後世に残す必要がある。今後も福島県に働きかけていく。








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