汚染水海洋投棄に反対する

以下はたんぽぽ舎のメルマガの一部を転載する。


■福島第一原発の汚染水海洋投棄に反対する
        たんぽぽ舎声明

1.政府決定の誤り

4月13日、政府は福島第一原発の汚染水(ALPS・多核種除去設備処理水)について「廃炉・汚染水・処理水対策関係閣僚等会議」を開催し、海洋放出による処分を決定した。事故から10年を経過し、汚染水対策の議論が始まってからも6年余経ってからの海への放出決定。政府も東電も長い時間をかけても何ら建設的な対処方法を検討、採用せずに無為に最も安易で最も地元の反対が強い方法を強権的に決定した。強く抗議すると共に、これからでも遅くはない、安全性の高い、地元も多くの市民も納得できる方法を考え、採用することを求める。

2.「関係閣僚等会議」に決定の権限はあるのか
  経産省の回答「汚染水処理の決定権と責任は東京電力にある」

この会議は、汚染水海洋投棄を決定できる権限を有しているのか。事故現場は東電の原発であり所有は東電である。少なくても敷地内に存在する放射性物質の管理、処分を考え、実施するのは所有者である東電の責任で行わなければならない。
実質的に東電の株の過半数を廃炉支援機構が保有しているとしても、国が決定を押しつけることなどできないはずだ。
まして、この会議は災害対策本部の下部組織に過ぎない。法令上、決定をする権能を有してなどいない。実際に、経産省にも問い合わせた結果、「汚染水処理の決定権と責任は東電にある」と回答をしている。
国が行うことができるのは、違法な投棄や排出を規制し、それを差し止めることであり、環境を守る立場だ。不当な廃棄物投棄を事業者に強制することではないのである。

3.逃げ回る東京電力
 「関係者の理解なしには、いかなる処分も行わない」の約束違反

今回の閣僚会議もそれまでの汚染水対策委員会でも、東電は事業者として主体的に行動してこなかった。規制委員会による「特定原子力施設監視・評価検討会」(福島第一原発についてのみ審議を行う会議体)でも、東電は常に国の決定を待つとの姿勢で自らが主体となって汚染水を安全に管理し、減量し、排出を防止することをしてこなかった。東電の逃げ回る行為も事態を悪化させる大きな原因であり、強く抗議する。
処理を巡って東電は2015年8月に「関係者の理解なしには、いかなる処分も行わない」と約束した。ところがその後は、政府の決定を待つだけの姿勢に終始してきた。主体性を放棄したかの東電の姿勢は、東電体質と呼ばれる無責任体制が、ここでも露呈していた。これで関係者と合意形成できるわけがない。

4.汚染水の排出は環境や人体に影響を与える

汚染水にはトリチウム以外の放射性物質も含まれる。如何に薄めようとも低レベル放射性廃液に他ならない。これを海に投棄することは、国際条約の精神にも抵触し極めて不当だ。周辺国が懸念を示し反対することは当然である。
人体への影響を示唆する報告も世界から出されている。カナダからは、ピッカリング原発の下流域で新生児死亡率の増加が観測され、小児白血病の増加も認められている。再処理工場からも大量のトリチウムが排出されるためイギリス、フランスでは再処理工場の周辺で健康被害が指摘されている。

日本では、加圧水型軽水炉の玄海原発がある玄海町と隣接する唐津市での白血病の増加が見られ、泊原発の泊村と隣町の岩内町のがん死亡率は泊原発が稼働する前は道内180市町村の中で22番目と72番目だったが、原発稼働後は道内で一位が泊村、二位が岩内町になった。

5.汚染水の海洋排出は誰に利益があるのか

薄めてながせば影響がないなどと、いったいどんな根拠があるのか。もともと放射性物質の基準は、「リスクベネフィット」の考え方から
来ている。すなわち、原子力産業を維持するためには一定の放射性物質を排出せざるを得ない。一方で原子力利用には、発電に限らず様々な利益がある。これらの均衡を勘案して考えられてきたのが実態であり、ゼロリスクなどではない。

福島第一原発は、稼働していた時には電力を生産し、そのことを利益と捉えるならば、運転中の放射性物質の排出は、利益を得るためにやむを得ないと考えてきた。私たちは、その考え方に問題があり、特に電力消費者(多くは大都市圏)と主に影響を受ける人々(すなわち主に立地地点の住民)の間の不均衡を指摘し、核の被害を一方的に押しつけるものだと批判してきた。
これに呼応するかのように、電源立地交付金などを電力料金から支出したり、核燃料税などで地元へ還元するなどしてきたが、いわば「リスクへの見返り」であった。

しかし福島第一原発では今となっては何の利益を生まないばかりか大変なリスクを与えている。それを従来の廃液放出基準を持ち出して合理化しようとする国の主張は不当である。
結局、国の進めてきた原子力政策が破綻し、大規模汚染を拡散させてしまった責任さえ取らないで、またしても海に大きな打撃を与える海洋投棄は許されることではない。

6.まだ放出まで時間はある

排出が始まるまでに2年かかるという。それまでに新たな体制で対策を見直す時間は十分にある。政権を変えて、福島の人々との対話を通じて、汚染水を含む福島第一原発事故の対策を見直すことが重要だ。まだ間に合うのだから、今後も運動を続けていく。これまで、東京電力本店前で続けられてきた91回におよぶ「東電本店合同抗議行動」の実績をもとに、引き続き、東京電力を追及していきたい。


 
■放射能汚染水の「海洋放出」の閣議決定に断固抗議する
       さようなら原発1000万人アクション実行委員会

菅義偉首相は、東京電力福島第一原発で生じている処理水(放射能汚染水)の処分をめぐり、本日「海洋放出」を閣議決定した。
私たち「さようなら原発1000万人アクション」は、この決定に断固抗議する。
これに先立ち4月7日、菅首相と会談した全国漁業協同組合連合会の岸宏会長は「『絶対反対』との考えはいささかも変わらない」との立場
を明らかにした。 地元・福島県漁連の野崎哲会長も「海洋放出に反対の姿勢は変わらない」としている。

有識者による政府の小委員会が2020年2月に公表した報告書には、放射能汚染水の扱いについては「現地や関係業界と丁寧に議論をして、国民的な合意ができたら政府が決定する」としていた。にもかかわらず、その後まともな議論もないまま、閣議決定でこの問題を乗り切ろうとすることは、国民合意、県民合意もないまま、ふたたび福島に放射能の被害を押し付けることになり断じて許せない。

また、2015年、東京電力は「関係者の理解なしには、いかなる処分も行わず、多核種除去設備で処理した水は発電所敷地内のタンクに貯留します」と漁業者に文書で回答したことも忘れてはならない。海洋放出をこのまま容認すれば、信義さえ欠くものだ。

福島県内の59市町村のうち約7割にあたる41市町村議会が、海洋放出に反対または慎重な対応を求める決議や国への意見書を採択している。経済産業省が公募したパブリックコメントの大半は、放射能汚染水の安全性に対する懸念、陸上保管などの処分方法の見直し、合意プロセスへの懸念など、「海洋放出」に対して否定的なもので占められていた。多くの問題を抱えたまま、先に関係閣僚会議で政府の方針を決定した上で対話を求めても、それは政府の考えを押し付けるだけのもので、対話でも民主的なプロセスでもない。

事故により福島県の漁業は大打撃を受け、全面的に操業が自粛された。その後試験操業が始まったが、多い時で44種の魚の出荷が制限された。全魚種が出荷できるようになったのは2020年2月になってからであった。漁獲量もやっと震災前の2割に戻ったと言われるが、そこに海洋放出による風評被害が出れば、壊滅的な打撃を被ることは必至である。これまで復興に努力してきた漁業関係者に大きな失望と与える。再び漁民の生活や希望を奪い去る。

放射能汚染水に多く含まれるトリチウムは、体内に取り込まれれば細胞やDNAにダメージを与える。さらに放射能汚染水には、トリチウム以外にも他の放射性物質も取り残したまま放出されることも指摘されている。また「薄めて流せばよい」とする考え方も問題だ。

東京電力が、この間、柏崎刈羽原発でテロ対策施設の不備や不正ID使用などの問題、福島第一原発の4000基の内容物不明のコンテナ問題など、管理と情報開示について次々と問題が明らかになってきた。まさに東京電力が原発を動かす資格と管理能力があるのか。そのことは放射能汚染水を管理する資格があるのかも問われている。このような企業が放射能汚染水の放出をすること自体が問題だ。

「海洋放出ありき」で進められてきた放射能汚染水問題。海外の国や市民からも多くの批判の声が上がっているが、それさえもまともに回答していない。世論に挑戦する「海洋放出」を閣議決定したことは許されない。保管するタンクの新たな敷地の確保や他の代替案の再検討を強く求める。













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