学術のあり方に政治家は口をはさむな

以下はたんぽぽ舎のメルマガの一部を転載。学術は科学技術ではない。学術会議の在り方はまず科学者たちが議論すべきだ。科学者を差し置いて政治家や経済人が議論すべきではない。

◆学術は科学技術ではない
  学術会議の在り方はまず科学者たちが議論すべきだ

前川喜平(現代教育行政研究会代表)

井上信治科学技術担当大臣が9日、日本学術会議の在り方に関し、総合科学技術・イノベーション会議の民間議員と意見交換した。産業界と学界の緊密な連携や産業界出身の会員の増員などについて話したという。

しかし、学術会議の在り方を科学技術の観点から論じるべきではない。科学技術と学術は表面上は重複するが、本質は全く異なる。それは結局、お金になるかならないかの違いだ。学術は真理を求める営みである。真理は万人に開かれている。知的財産権を付与して私有化することはできないし、値段を付けて売り買いすることもできない。

故小柴昌俊氏はニュートリノの観測に成功したが、それ自体に経済的価値はない。しかし、そのために多額の税金で巨大観測装置カミオカンデが作られた。現在は学術会議のマスタープランに基づいて、バイパーカミオカンデが作られている。

経済的な見返りを期待しないのが学術なのだ。文部省と科学技術庁の統合の際、文部省の学術行政担当者の多くが反対した。学術が科学技術に従属することを恐れたのだ。その抵抗の跡は、科学技術・学術政策局、科学技術・学術審議会などの名称に残っている。

学術は科学技術ではない。学術会議の在り方はまず科学者たちが議論すべきだ。科学者を差し置いて政治家や経済人が議論すべきではない。
     (11月15日東京新聞朝刊19面「本音のコラム」より)










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