田中俊一氏の詭弁・妄想!

保健物理学会誌(2018年秋発行)の巻頭言に
元原子力規制委員会委員長の田中俊一氏の巻頭言が掲載された。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jhps/53/3/53_133/_pdf/-char/ja

しかしながらこの巻頭言の内容は科学者とは思えない
詭弁であり妄想であり妄言で、その問題点について纏めた。
2018年の保健物理学会誌(53)に掲載された田中俊一氏の巻頭言について、
問題点や課題をまとめたものを保健物理学会に送付した。

この問題提起が保健物理学会はじめ多くの専門家の方々の議論につながれる事を期待したい。
この巻頭言が何の検証も無いまま、多くの会員の目に触れる学会誌に掲載された事に
対する保健物理学会のリテラシーも疑問に思うところ。
この巻頭言に対し、是非保健物理学会からの反論を期待したい。
皆さま方からの忌憚の無いご意見も頂きたい。『   』内は巻頭言を転載したもの。


以下、保健物理学会に送付した。

【田中俊一氏による保健物理学会の巻頭言で提示された課題の検討】
                               2019年2月6日

福島の原子力発電所事故以降、それぞれの立場でご尽力されている事に感謝申し上げます。
2018年の保健物理学会誌(53)に掲載された田中俊一氏の巻頭言について、問題点や課題を提起致しました。この問題提起が学会はじめ多くの専門家の方々の議論につながればと思っております。又専門家としては権力側からの思惑に影響する事なく、公平・中立に、しかも被害者の視点で考える事も重要であろうと思います。この巻頭言が何の検証も無いまま、多くの会員の目に触れる学会誌に掲載された事に対する保健物理学会のリテラシーも疑問に思うところです。この巻頭言に対し、是非保健物理学会からの反論を期待するところです。皆さま方からの忌憚の無いご意見賜れば幸甚です。


『事故当初,緊急時被ばく状況との判断で,空間線量率3.8μSv/h(年間20mSv相当)以上の地域に避難が指示されたが,これ以下の線量率に低下している現在も大熊町,双葉町,浪江町等の広範な地域の避難指示は解除されていない。この背景には,避難指示を解除するための条件に生活インフラの整備や当該自治体の同意を含めたことと,0.23μSv/h以下でないと放射線被ばくの健康影響があるという事故当初の誤った主張が影響している。』

1.放射線防護ではLNTモデルを採用しており、0.23μSv/h以下の線量率でも放射線被ばくの健康影響はあるという考え方が一般的。
2.現在は現存被ばく状況にあり、参考レベルを1~20mSv/yの低い範囲で設定すべきとの
ICRPの提言をまったく理解していない発言であり、緊急時被ばくの避難指示と現存被ばくの避難解除条件は異なるべき(現存被ばく避難解除条件は緊急時被ばくの避難指示のレベル比べ低い値とする。注1)との認識に欠けている。注2
注1:The reference level for the optimisation of protection of people living in contaminated
areas should be selected in the lower part of the 1–20 mSv/year band recommended in Publication 103 (ICRP, 2007) for the management of this category of exposure situations.
注2:本件に関しては、現在原子力規制庁及び放射線審議会に質問(詳細は以下のURLを
    ご覧ください)しており、回答内容によっては国会議員からの質問主意書も準備予定。
https://nimosaku.blog.so-net.ne.jp/2019-01-13

3.避難指示を解除する為の条件に「当該自治体の同意を含めたこと」は避難指示を解除するには必須の要件。(このように認識している人が原子力規制委員長をであった事が福島県民にとっては不幸!!)


『加えて,空間線量から実効線量を推計する計算式が,実測値との比較で3~4倍も過大評価になっていることが明らかにされているにもかかわらず当初の推計式はそのままで,0.23μSv/hすなわち年間1mSvという信仰が生きているのである。』

4.より高い線量率に滞在し、より放射線に曝露している方だと、逆のこともあり得る。実際に伊達市の個人線量測定のデータでも0.23μSv/h以上の線量率になっている住民が存在。
5.3~4倍も過大評価の根拠を巻頭言では示していないが、伊達市民の個人線量値データを不正に入手した早野・宮崎論文の事を指していると推察されるが、この論文は不正ばかりか、主に平均値で議論しており、リスク管理からすれば最大値かそれに相当する値で議論すべき事。田中氏の発言はリテラシーが疑われるものであり詭弁!
6.航空機サーベイで得られた周辺線量当量から、実効線量を推計する場合の換算係数は、
その条件に依存する。


『除染の技術基準の一つに,一般廃棄物として扱えない8,000 Bq/kg以下の指定廃棄物の基準がある。この基準の前提は,除染廃棄物の処分に際し,外部被ばく評価の線源条件として,既往のクリアランスレベルの評価にならって,半径500 m,深さ10 m,かさ密度2 g/cm3と想定し,作業員が一日8時間,年間250日の労働時間のうち半分の時間,当該廃棄物の処理作業をするとした場合に,作業者の被ばく線量が年間1 mSvを越えないようにするためとされている。放射性廃棄物である除染廃棄物を長期間扱う作業者には,年間20 mSvの放射線従事者の基準を適用すべきであり,年間1 mSvの線量基準を適用すること自体が問題である。年間20 mSvの放射線従事者として扱えば,指定廃棄物の基準値は160,000 Bq/kgとなり,除染土壌の大部分は一般廃棄物として処理できているはずである。基準は国が決めたものだが,こうした評価の算出に手を貸した専門家としての見識が厳しく問われる事例である。』

7.埋設処分された廃棄物を扱う作業者の参考レベルを年間20mSvとすべきと言うことであれば、労働者から提案してもらうべきですし、その場合労働者が集まるとは思えません。
8.作業者の被ばくの問題ではなく、指定廃棄物の基準値として160,000 Bq/kgが妥当かどうかという議論をすべきです。
http://shiteihaiki.env.go.jp/radiological_contaminated_waste/designated_waste/

9.現在8000Bq/k以下の汚染土の公共事業への使用でさえも市民からの反対運動が起きている状況。国際規準や指定廃棄物の規準の科学的根拠を議論すべきで、この発言は科学者として基本的人権を無視した倫理観が欠如した妄言・詭弁と捉えるべきでしょう。
10.原子力発電所の事故前(計画被ばく状況)のクリアランスレベルはCs-137に対し100Bq/kgである事も考慮すべき。


『さらに,深刻な影響をもたらしているのが食品流通基準である。137Csに関するわが国の基準は,EUやCODEX等の国際基準と比較して,一般食品が1/10,飲料水が1/100と異常に低く設定されている。』

11.食品流通基準で、日本と海外(EU、アメリカ、コーデック)との比較で日本は一般食品では1/10、飲料水では1/100と言っていますが、ここでのEUのクリアランスは緊急時の基準との比較であり、比較する前提が異なっています。逆に食品によってはウクライナやベラルーシの基準の方が日本よりも厳しいのです。(詳細は以下のURL参照)。
http://anti-hibaku.cocolog-nifty.com/blog/2018/12/post.html


『新基準を決めた厚生労働省の食品安全委員会は,暫定基準(500Bq/kg)のままでも内部被ばく量は年間0.051mSvになると推測しながら,時の政治の意向を受けて強引に100B/kgに下げた。この異常ともいえる基準が,福島県の農漁業の障害になり,風評被害を拡大し,内部被ばくに対する誤解の原因になっている。本基準の作成に関与した放射線防護の専門家は,このことを深刻に認識すべきである。』

12.「厚生労働省の食品安全委員会」ではなく、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会です。
食品安全委員会は、内閣府のリスク評価機関です。
13.「年間0.051mSvになると推測しながら」とあるのは、中央値推計です。少なくとも放射線防護は、代表的個人を想定する必要がある。
14.「時の政治の意向を受けて強引に」とありますが、そのような事実はありません。
 当時の大臣からの発言は審議会を縛るものではなく、何をもってそのような事を言っているのか全く理解できない。田中氏の妄想でしょうか?

15.ICRPのBq→mSvへの変換係数が5分の1程度と小さいとの専門家の意見もあり、食品によっては(特に乳幼児の食品)もっと厳しくしても良いのではないでしょうか。
16.福島で『風評被害』はありません。原発被害による放射能汚染によってもたらされた実害です。『風評被害』という言葉は加害者である国や東電が、その責任を消費者に転嫁するもので、原子力推進側による国民を騙す詭弁。科学者は『風評被害』という言葉の意味を十分理解し使うべきです。詳細は小生の福島民報への投稿記事をご覧ください。
https://nimosaku.blog.so-net.ne.jp/2015-06-06


『もう一つの例が,作付け制限の基準である。農林水産省は,事故当初5,000Bq/kg以上の田畑での作付けを禁止したが,その前提は,食品流通基準が当初500Bq/kgであり,土壌からの移行係数を10%と仮定したことによる。農水省は,大臣まで駆り出しヒマワリによる除染を推進したが全く効果がなく,結果的に放射能汚染の不安の中にあった住民の気持ちをもてあそんだことを行政はもちろん,それにくみした専門家の責任が問われる事例である。』

17.ひまわりや菜の花に放射能除染効果が少ない事は県農業試験場等からの報告で県民は知り、県内では大きな問題になっていない。(小生も県の農業試験場と共同で実証試験済)
18.住民の気持ちをもてあそんだのは、2020年までに原発事故が無かった事にする為に、避難者支援の切り捨て、賠償金支払い拒否、モニタリングポストの撤去、汚染水の海洋への投棄、健康被害の無視等、福島県民切り捨てや分断を推進する自公政権であり、そして経産省の虜となって原発の再稼働を推進する原子力規制庁(寄生庁)であると言える。
(田中氏は原発推進してきた側でありながら、その反省がまったくない事に呆れる。)

19.農水省が5000Bq/kgとしたのは、2011年の田植えに間に合うように、米の移行率最大10%との論文等を探し当てて決定したもの。
20.現在はセシウム抑制対策としてのカリ(25mg/100g以上)の施肥や土壌の改良(粘土質土壌への改良)と森林からの水を管理する事等によって、移行率を抑える技術が確立した為、避難指示地域等の特別な地域を除いて作付け制限はしていない。(米や農産物への移行率を小さくできる事を各農業試験場や農林水産省で実証試験を行いJA等が指導している) 
詳細: http://www.maff.go.jp/j/kanbo/joho/saigai/pdf/130710_komeq17_rev.pdf


『以上は,復興を妨げている科学的合理性を欠いた放射線や放射能についての防護基準である。原子力規制委員長を退任した後,飯舘村で生活しながら福島の復興の手伝いをしていて,もっとも憤りを覚えるのは,なぜ,このような事態が生じているかということである。その基本に「放射線被ばくは低ければ低いほどよい」という安易な考え方に流された専門家の姿勢があることは否めない。保健物理は,本来社会との関係において成り立つ典型的な学際的分野であり,「ALARA」が広く受け入れられているのもそこにある。放射線防護の専門的知見がもっとも求められている状況においては,科学的に裏付けられたより現実的な見解が求められたはずである。そうした状況にあっても,一部の保健物理関係者は,政治と行政の意向を忖度し,それに応えられることをあたかも専門家の証のような錯覚をしていたのかも知れない。』

21.科学者のあるべき姿を言い当ててはいるが、田中氏は科学を間違って認識している。
科学を正確に捉える努力をし、真実を政治や行政に伝える事が科学者の役割。田中氏は真実を捻じ曲げて政治や行政に伝えている為、田中氏こそ科学者としては失格と言わざるを得ない。
22.ICRPのLNTが世界的に受け入れられている定説であり、日本政府もそれを取り入れた基本政策を打ち出している。田中氏はそれを否定する発言でしており、保健物理学会や国民が受け入れられるはずはない。まさに詭弁である妄言!


『今回の原発事故の重大さは云うまでもないが,2013年のUNSCEARによる福島事故報告書では,福島第一原発サイト内の従事者を含めて認識される健康影響(確定的影響)はなく,将来の確率的な影響については,甲状腺がんを含めて被ばくを原因とするがん患者の増加は考えられないと言及されている。つまり,今回の事故は,放射線被ばくによる健康影響でなく,無計画な避難等によって多数の犠牲者を出したことが深刻な教訓である。原子力規制委員会の新規制基準は,屋内退避で済まず避難が必要となる事態を起こさないことを求めている。IAEAの原子力施設の防災指針では,確定的影響を避けることとされているが,今回の事故は広範囲な環境汚染が起きれば甚大な社会的影響が出ることを教えるものである。』

23.福島県健康調査によれば、甲状腺がんの発症数には第2巡目からは地域差が出ている。
この原因はヨウ素による初期被曝の影響であるとする事を否定する事はできない。
24.ヨウ素による初期被曝(拡散)も、場所によっては、当初の予測(セシウムとヨウ素の
比が1:1と想定)の10~30倍との研究結果が東大の森口教授から発表された。
この事からも、当初チェルノブイリと比較して放射線量が低いので放射線の影響とは考えにくいとしていた理由が崩れ、甲状腺がんが放射線の影響である事を否定する事は不可能となった。(すべての甲状腺がん患者が放射線の影響とする事はできないが??)

25.福島医大の甲状腺がん患者に地域差が無いとする大平教授らの論文に対し、地域差が歴然とあるとする反論も加藤聡子氏から出されています。
https://journals.lww.com/epidem/Citation/publishahead/Re___Associations_between_Childhood_Thyroid_Cancer.98619.aspx?fbclid=IwAR2FhJHZE8HRzYMyBSLW-eh8hPqlPLiLN2ZI_3IHta8A1eXZH6XdiIbP8dk

26.社会的な影響の考慮は必要ですが、対策を講じないと放射線リスクは上がります。
(「確定的影響を避ける」とあるのは、ある限られた状況に関する記述ではないでしょうか)。
(田中氏は放射線リスクの専門家ではない素人が職権を利用し、公の場で間違った発言する事こそ慎む
 べきで、国民にとっては非常に不幸な事。専門家集団としての保健物理学会の奮起をお願いします。)


『広範な住環境が放射能で汚染され,その影響を受けているのは一般住民であり,個々の専門家の意見の違いにとらわれ,速やかな決断ができないことは責任の放棄である。放射線防護に関わるさまざまな基準の合理性を徹底的に議論することは,日本国民に対してだけでなく,国際的な責務を担う学会の役割である。今回の事故を放射線防護の研究対象に留め,成果を社会に還元することを怠ることは保健物理の専門家のモラルに反する。事故発生から7年経過した現在も,放射線被ばくや放射能汚染に対する住民の悩みは深刻であることを再認識し,保健物理学会としての明確な,責任ある見識を示すことが求められている。』

27.合理性の吟味は重要ですが、合理性の吟味が倫理的に成り立つのは補償原理が公平に働く場合であり、公平性の議論がその前提になる。田中氏は文科省の原子力損害賠償審紛争審査会にて福島県民への一律な賠償金学を減らすように発言した張本人。
朝日新聞の社説をご覧ください。
https://www.asahi.com/articles/DA3S13881185.html?ref=nmail_20190206mo

28.田中氏の発言は一般論としてはその通りだが、彼の方向性はリスク管理からの真逆の方向を向いている。彼の原子力損害賠償紛争審査会や原子力規制委員会等、公の場での発言が福島県民、とりわけ避難している住民を苦しめている事に気づくべきだ。
29.伊達市の個人線量測定値を不正に使用し、最初から結論ありきの論文を書いた、いわゆる早野・宮崎論文は、伊達市のアドバイザーであった田中氏やその後継者多田順一郎氏らが仁志田前市長らに、低線量エリア(Cエリア)の除染はしなくともいいとの提言した事によって仁志田前市長が、Cエリアを除染しないとした決定に大きな影響を与えた。仁志田前市長がこの決定を市民に納得してもらう為に、福島医大の宮崎氏に論文を書いて欲しいと依頼した事が発端。(この依頼は伊達市民の公文書開示請求で明らかとなった。)田中氏や多田氏の責任をも問いたい。

30.田中氏や多田氏らは低線量エリア(Cエリア)を除染しなくとも良いとのアドバイスをした事によって、伊達市民に不要な被ばくを強要させ、地域を分断させた責任は大きい。
地元月刊誌『タクテックス』でも伊達市アドバイザーである多田順一郎氏の批判記事が2回掲載されています。伊達市のアドバイザーとしての田中氏や多田氏の責任も問われるべきだろう。


以上、田中俊一氏の巻頭言の内容が如何に科学的な根拠に欠けているかについて、問題点を提起しました。是非保健物理学会として、そして専門家として検証・議論いただき、被害者である福島県民、そして理性ある国民の為に間違った方向性を修正して頂きたくお願いいたします。この事が失われた専門家に対する国民の信頼を取り戻す事に繋がります。
このまま放置する事は、専門家や学会に間違った情報が拡散され、益々専門家や学会の信頼を失墜させる事となります。保健物理学会として、この巻頭言に対する公式な反論も期待しております。又御学会として、そして会員の個人的なご意見も小生宛てに頂ければ幸甚です。最後に保健物理学会の益々のご発展をお祈り申し上げます。



















この記事へのコメント

この記事へのトラックバック