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zoom RSS 東大・早野論文への科学者の反論(2)

<<   作成日時 : 2013/06/03 12:22   >>

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東大・早野教授らが”福島の子ども達の内部被曝は無かった”
とする論文に対し、内部被曝問題を研究している科学者や医師
そして市民から反論意見が出ている。

長文なので2回に分け掲載。今回はその第2回目。  
全体の構成は木村 知医師が纏めたもの。

東大・早野論文への科学者の反論(1)は以下ご覧ください
http://nimosaku.blog.so-net.ne.jp/2013-06-02



『「福島県内における大規模な内部被ばく調査の結果ー福島第一原発事故7ー20ヶ月後の
成人および子供の放射性セシウムの体内量ー」(早野氏論文)に対する公開質問』


木村 知、 田口茂、 竹野内真理、松井英介、 矢ケ崎克馬、肥田舜太郎



松井英介 (岐阜環境医学研究所)

早野龍五氏らはこの論文のConclusionsでまた抄訳のまとめでそれぞれ次のように述べている。
This is the first sampling-bias-free assessment of the internal exposure of children in Fukushima.
(Proceedings of the Japan Academy Series B 89 (2013) 157 P.162)
これは福島県において、初めて対象のほぼ全数を計測した、サンプリングバイアスのない内部被ばく評価である。
(日本学士院紀要Proceedings of the Japan Academy Series B 89 (2013) 157 の抄訳 P.8)
また、RocketNews24のAndrew Miller記者のインタビューに応えて、次のように述べている。

“Findings suggest that the level of internal radiation exposure brought about by pollution from the soil within the Fukushima Prefecture is much less than originally believed. The amount is so negligible that it is difficult to imagine there being any risk to the health.”


早野氏らがwhole-body-counter(WBC)で計測したのは、計測が適正に行われたという前提でだが、体内に取り込まれたセシウム137およびセシウム134(137Cs and134Cs)から体外に放射されたガンマ線量である。ストロンチウム90(90Sr)が壊変の過程で放射するベータ線や、プルトニウム239(239Pu)から放射されるアルファ線は、体内での飛程がたかだか、90Sr;10mm,239Pu;40μmと短いため、WBCでは計測されない(あるいは、体内にあっても、WBCではないと評価される)。

また早野氏らが行った土壌の測定は、137Csの表面線量のみであって、ウクライナやベラルーシで行われているような土壌中の90Srや239Puを初めとする各核種の検査は行われていない。さらに土壌中の137Csなどが経時的に土壌のより深いところに移動していることは、日本政府発表データによっても示されている。したがって、土壌については、土壌そのものに含まれる各核種を調べる必要がある。食品についても同様の事柄を指摘しなければならない。食品に含まれる各核種の計測方法およびその結果については、この論文には記述がない。

ちなみに、90Srの物理的半減期は、137Csのそれとほぼ等しい約30年であるが、90Srが骨や歯に留まる時間は数十年におよび、さらに骨には造血臓器である骨髄があることから、白血病や免疫不全などの健康リスクはきわめて高いことが知られている。
239Puは人類が創り出した最強の毒物であって、この核種によるバイスタンダー効果や遺伝的不安定性の誘導と相まって、DNA損傷などの健康リスクはきわめて高いことをつけ加えておきたい。
このように、137Cs and/or134Cs測定の限られた不十分なデータをもとに、冒頭に示したような内部被曝評価の結論を導く方法は、きわめて非科学的である。

また、上記のごとくメディア・インタビューに応えるやり方は、東京電力福島第一原発事故によって自然生活労働環境に放出された各人工核種が、成人および子どもの体内さらに外部環境から消失したかの如き誤った認識を、住民・市民に提供・拡散するものであって、科学者の社会的責任を問われるやり方であると評価しなければならない。

ーーー


早野龍五氏らによる『福島県内における大規模な内部被ばく調査の結果』を批判する
矢ヶ崎克馬(琉球大学名誉教授)


1.巨大な検出限界は公式記録からの被爆の実態切り捨て早野龍五氏らによる『福島県内における大規模な内部被ばく調査の結果― 福島第一原発事故7-20 ヶ月後の成人および子供の放射性セシウムの体内量―』に用いられた検査手段がホールボディーカウンター(WBC)であり、しかも感度の悪い測定条件によっていることがこの調査の最大の特徴である。
この調査ではたった2分間しか測定せず、結果として300Bq/全身と、きわめて検出限界を高くして使用していることに調査の特徴があり、この手段(WBC)に限定して測定していることに、被曝実態を記録上低く見せようとする意図が懸念される。

「内部被曝隠し」という目的意識が危惧するのは、もっと感度の高い尿検査を福島県が封じ込めていたのではないかと推察される事件が生じているのも一要因である。
昨年11月に、福島県の県民健康管理調査の検討会議の議事録の一部、「県側が尿検査に難色を示した箇所」を、福島県が公開する時には削除されていたことが判明している。この調査と福島県側の議事録隠蔽が表裏一体なのではないか?と懸念しているのである。

 尿検査の検出限界はおよそ0.05Bq/kg程度である。単純化して1日の排尿量を1kgと仮定して全身被曝量に換算する。子どもの場合は生物学的半減期を40日として計算すると、2.9Bq/全身となる。これを早野氏らが行った300Bq /全身と比較するとなんと、103倍も検出感度がよい。大人の場合は生物学的半減期を80日として、0.05Bq/kgは5.8Bq/全身となり、感度は52倍である。

要するに早野氏らが行った検査方法であり、福島県がこの方法に固執した(尿検査を排除した)ホールボディーカウンターの検出限界の50倍から100倍の感度が尿検査では保証できるのである。尿検査は、排尿の状態に個人差があり、日によって異なり、運動量や補水量で1kgあたりの放射線量は異なる。しかし、感度がよいということ自体のメリットは否定しがたい。数値そのものは誤差があり得ても検出感度はホールボディーカウンターの50倍から100倍もあるのである。早野氏らの調査を尿検査で行っていれば、おそらく50%以上の内部被曝者の確認ができているであろう。
 住民に寄り添い、できるだけ放射能被曝があるかどうかを丁寧に検出しようとする意志があるのならば、彼らの行った以外の道が選択されたであろう。

2.着衣被爆の危険―内部被曝と同等―さらに、着衣に汚染があったことが報告されていて、ガウン更衣で内部被曝は少なくなったとされる。この取り扱いでも、着衣に汚染があれば、当然体に密着した被曝がなされ、外部被ばくを懸念しなければならない。被曝は内部被曝だけではないのである。WBCで測定できるガンマ線被曝は、内部被曝でも外部被ばくでも大差はない。ガンマ線は分子切断密度が小さいので、ガンマ線の発射される位置による被曝差は、アルファ線、ベータ線の場合と異なり、大差ないのである。特に着衣汚染による被曝はその人が家屋内にいるか外にいるかにかかわらず、常に体に密着した線源による被曝をもたらし、内部被曝とともに特に警戒する必要がある。着衣時で10%を超える市民に300Bqを超える被曝が確認されたのならば、おそらく100%近くの市民が着衣汚染被曝をしている。

着衣被曝は、このように、市民の実生活の被爆状況が非常に危険であることを示しているのにかかわらず、「内部被曝の結果を高く示す邪魔者」としての扱いしかない。被曝を懸念する市民に寄り添う観点がないのである。測定者あるいは医師として「医の心」を持つならば「着衣被曝を避けなければならない」と心配する対象として当然であろう。しかるに彼らには内部被曝の値を下げることにしか関心がない。内部被曝がないことは大変うれしいことである。しかし、ずさんな測定と切り捨てによって『被曝がない』ことにされると、健康管理がおろそかにされるのはてき面である。

3.測定できないことは被曝していないことではない
(1)内部被曝で、より脅威があるアルファ線ベータ線はいくら体内に放射性物質があってもWBCでは感知できない。セシウムはベータ線を出してバリウムに変わり(崩壊系列)、バリウムはガンマ線を放出する。当初セシウムであった1原子からはベータ線とガンマ線の2本が放出される。その際放射平衡と呼ばれる状態に達しているから、体の中の集団としてはベータ線の放出量とガンマ線の放出量がいつでも等しいのである。早野氏らは内部被曝線量を計算しているが、ベータ線の被曝線量は計算しているのであろうか?計算方法等が示されていないので判断できない。内部被曝には上記のような崩壊系列が伴う。ベータ線、アルファ線は飛程(飛ぶ距離)が短い。それだけ分子切断の密集度が上がり、外部被ばくに比較して100倍から1000倍のリスクを生ずるといわれる(矢ヶ崎:内部被曝、ECRR2010年勧告参照)。

WBCで測定できない「低被曝線量」に重大な落とし穴がある。WBCで測定限界以下とされる領域に内部被曝は重大な危険が潜んでいるのである。この観点から、感度の低いWBC測定は「内部被曝を測定するふりをして内部被曝の危険を隠す」ものである。

チェルノブイリ後の被害を見ても、WBCでは到底測定できないようないわゆる「低線量」で、白血病、死産、胎児死亡、ダウン症増加等々が報告されている。ICRPの過小評価を、さらにえげつなく踏み越えて、日本では安全論者が安全論を声高に叫んでいるが、実際の被害は彼らの「安全だ」という汚染領域に山ほど見つかっている。ICRP的な被害の実態をとらえない「加害者の立場」は被害を隠ぺいこそすれ、健康被害を防ぐために尽力することはないのである。

(2)市民が受けた過去の内部被曝は、今測定できないから、「無かった」のではなく、生命体である肉体が確実に被害結果を記録している。例えば、ヨウ素131は大量に放出された。その結果2年目にして10人の子どものがん患者が生じている。一昨年以前はこのようなことがなかったのだから、明瞭にこの甲状腺がん罹患者は東電福島原発爆発の被害者である。このヨウ素が住民に吸引されて内部被曝をしたことは彼らの調査では全く測定不可能であるが、ヨウ素131による被曝は否定できない。このことこそ、たとえ内部被曝の量が減少傾向でも、市民に対する健康管理が徹底されなくてはならないことを示している。此処でも、「内部被曝減少」でめでたしめでたしではなく、健康診断、医療体制の充実を叫ばなければならない。

4.汚染のごまかしはもう一つの被曝被害切り捨てさらに、汚染調査の点ではモニタリングポストのごまかしが進んでいる。市民の実際に受けている空間線量の半分ほどの値しか示さないモニタリングポスト体系で公式データを記録しているのである。
なお、測定問題での詳細は以下のURLを参照されたい。
http://peacephilosophy.blogspot.jp/2012/09/blog-post_19.html

ーーー

肥田舜太郎 (広島原爆被爆生存者、医師)

まだ放射線の除染をつづけている福島での、ホールボディカウンター検査の異常なしという不思議な検査結果は、直感で『放射線被曝はなかったことにする陰謀』だと思いました。その理由は。国連のWHO総会までが「チェルノブイリの放射線被害は殆どなかった」と決めるまでの、核を擁護する国際勢力の暗躍が、今は福島に集中していると聞いていましたので、山下医師の化けの皮がはがれたこの頃、何か新しいデマが登場するのではと思っていたので、ずいぶん手のこんだことをと感心しました。
出るはずのない正常値が、しかも全員に出るにはそれなりの工作がいります。しかも絶対にばれない方法を計画、実行するとは。チェルノブイルと並んで福島まで放射線被害をゼロにしようとする、核分裂反応のおいしいエネルギーを手放すまいとする巨大資本の執念に空恐ろしさを感じます。それにしても、被害はこれから起こってくるというのに。

ーーー

 以上、原発事故被害住民、長年にわたり内部被曝研究を行ってきた専門家らより寄せられた意見の一部であります。

 さて、このほど5月23日に明らかにされた、国連特別報告者アナンド・グローバー氏の国連人権理事会への報告書においても、「日本国内の8歳ぐらいの幼い子どもの尿サンプル中に、すでに放射性セシウムが検出されている。しかし、健康調査には16歳以下の子どもの尿検査が含まれない。また、汚染された農作物の摂取により 内部被ばくのリスクを増大し、白血病を及ぼす可能性のある放射性ストロンチウムをチェックする検査も実施されるべきである」「年間1mSvを超える地域に居住するすべての人々に健康管理調査を実施し、甲状腺検査のみならず、血液検査、尿検査を含むすべての健康影響に関する調査に拡大して行うこと」との勧告が出されており、バイオアッセイを行うことなく、またストロンチウムなど他核種の影響を一切考慮に入れぬままに、ホールボディカウンタ検査の調査結果のみで、年間1mSv超の地域における健康影響を「考えられない」と、現時点において断じてしまう今回の早野教授らの見解は、この勧告からみても、甚だ拙速で乱暴すぎる結論と言わざるを得ません。

 また、5月25日付け朝日新聞により報じられた通り、「住民の帰還基準である年間20mSvは、安全重視による基準強化により避難者が増加することを懸念した当時の政府が、厳格化を見送ることにより決定されたものである」ことが明らかにされましたが、現在の安倍政権も今なおこの方針を踏襲している状況であります。

 これら、健康影響や人権よりも経済的事由を優先する政策が施行され続けている状況の下、「被曝影響は考えられない」との科学者、医師らによる「拙速な結論」は、国民の放射能汚染に対する正しいリスク認識を麻痺させるばかりか、仮に健康被害が生じた場合も、それが被曝影響とは認められないなど、事故加害者の責任回避や、被曝被害者の人権を蔑ろにする政策に、「科学的根拠」として都合よく利用される危険性が、強く懸念されます。

 原発事故は、今なお未収束であるばかりか収束のメドすらつかない状況で、放射性物質も、今なお放出され続けている状況であり、被曝による健康影響を論じる際にはより安全サイドに立った慎重な態度が、科学者、医師には求められると考えます。
 今回の「早野氏論文に対する公開質問」によって、専門家と一般市民が同じ目線で、より多くの有意義な議論を行えるようになればと思います。
そして、多くのひとを巻き込んだこうした議論が、今なお汚染に曝され続けている被害者の「切り捨ては断じて許さない」、という「大きなうねり」「強い力」に繋がっていくことを、切に願うものであります。




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